糖質からのバイオエタノール
4章で、バイオエタノールの導入が世界で最も進んでいるのはブラジルだと述べました。
これには大きな理由があります。
効率よくアルコール発酵をさせるのにきわめて適した物質が糖質であり、それを多く含むサトウキビの生産が非常に盛んな国として、インドと並んでブラジルがあるからです。
日本でも、アサヒビールやりゅうせきが、沖縄県で、サトウキビからバイオエタノールを製造することを進めています。
典型的なアルコール発酵を、ブドウ糖を例にみてみましょう。
ブドウ糖というのは代表的な糖質で、C6H12O6という環状の分子です。
グルコースとも呼ばれます。
アルコール発酵というのは次のような化学反応です。
C6H12O6→2C2H5OH+2CO2つまり1モルのブドウ糖(180グラム)から、2モルのエチルアルコール(92グラム)が得られるわけです。
この反応に伴ってエネルギーも得られ、それが嫌気性微生物の生存や活動を可能にするわけです。
同じC2H5OHで構造が異なる(異性体といいます)糖として、果糖(フルクトース)という物質があり、これもほぼ同じようにアルコール発酵します。
また環状部分を2つ持つ糖として、ショ糖や麦芽糖(ともにC12H22O11)があります。
これは水と反応してブドウ糖や果糖に分解され、やはりアルコール発酵が可能です。
ワインを造る際には、自然の力を利用し、変に急がせずにじっくりと発酵させます。
それでこそおいしいワインが造れるのです。
しかし工業的に発酵させる場合はそんな悠長なことはいっていられません。
酵素や反応条件を工夫し、できるだけ安く早く作ることが求められ、研究されています。


