デンプン質からのバイオエタノール
4章で、バイオエタノールの導入がブラジルと並んで進んでいるのが米国だと述べました。
ブラジルでは主にサトウキビからエタノールを得ていますが、米国では主にトウモロコシからエタノールを得ています。
トウモロコシが含んでいるデンプン質が、最終的にエタノールに変わるのです。
ではデンプンとはどういった物質なのでしょうか。
これは(C6H10O5)nという分子式で表わされます。
この場合のnというのは非常に大きな自然数です。
つまりC6H10O5という分子(厳密には分子とはいえないのですが)が非常にたくさん連なったものです。
C6H10O5というのは、ブドウ糖と比べて、Hが2つとOが1つ少ないですね。
結局デンプンとは、多くのブドウ糖から水分子(H2O)が1つずつ取れてつながった(重縮合という)高分子なのです。
したがって逆に、デンプンに水分子をたくさん加えて分解(加水分解)することでブドウ糖が得られます。
これを糖化といいます。
ご飯をよく噛むと甘くなってくるのはこの作用です。
工業的に糖化するには90℃程度の高温と糖化酵素(アミラーゼ)が必要なので、それだけコストがかさみ、エネルギーも約20パーセントロスするといわれます。
ただ、サトウキビよりはトウモロコシの方が収穫可能地域は圧倒的に広く、その意味では有望なバイオエタノール源といえます。
またトウモロコシのほか、小麦や芋類やコメも、バイオエタノールのためのデンプン源として有望です。
日本ではJA(農協)グループが、新潟県でコメから、北海道で小麦などから、バイオエタノールを製造することを進めています。
図は1つあたりのαブドウ糖から1つの水分子が取れて縮合してアミロースというデンプンになる、あるいは逆にアミロースを加水分解してαブドウ糖になる、という状況を示したものです。
前章で述べたようにαブドウ糖は発酵してエタノールになりますから、デンプンからもエタノールが作れるわけです。
なお、アミロースは一番シンプルなデンプンで、コムギやジャガイモなどの中には比較的多く含まれていますが、より高分子であるアミロペクチンの方が量としては多いのです。
特にモチ米はほとんどがアミロペクチンです。
現在、1kgのトウモロコシから、約0.4リットルのエタノールが得られています。
米国でのバイオエタノール生産量はうなぎのぼりで、2007年には約68億ガロンすなわち260億リットルですから、そこには600億kgのトウモロコシが使われていることになります。
これは世界人口×10kg程度ということです。


