バイオ燃料の意義:環境工学的側面
環境工学的側面も2つに分けることができます。
1つは二酸化炭素(CO2)排出の削減問題です。
産業革命以前に比べてそれ以降は、そして特に20世紀後半以降は、膨大なエネルギー需要に伴って化石燃料消費が急増し、結果として酸素不足が懸念される一方で、CO2濃度が上昇しています。
もちろん空気中ではせいぜい350ppm程度であり、また一酸化炭素と違ってCO2自体が少量で直接的な被害を人体にもたらすわけではないのですが、温暖化問題をはじめ、二酸化炭素問題は避けて通ることができないのです。
原子力は、それ自体の是非は別として、二酸化炭素排出を伴わない燃料ということが推進の大きな根拠になっています。
しかし操業や廃棄物の安全管理などの面で広く納得された技術とは言いがたく、それ以外の試みも重要なのです。
現実的には、1997年に策定された京都議定書(21~22章で詳述)の存在が大きいでしょう。
米国は残念ながら脱退してしまいましたが、日本やEUなどは、かなり厳しく二酸化炭素排出を減らすことが義務づけられました。
その際に、バイオ燃料は二酸化炭素排出に組み入れない(CO2ニュートラルといいます)ことになったのです。
バイオ燃料は植物が基本なので、燃料自体の生成過程において、その消費に伴って排出される二酸化炭素をすでに吸収しているから、というのがその根拠です。
純粋に燃料化のためにわざわざ栽培された植物資源を使うなら、これは確かに一理ある考え方です。
環境工学的側面でバイオ燃料を評価するべきもう1つの理由は、特に自動車のエンジンに使う際に、従来のガソリンと比べて、有毒物質である一酸化炭素の排出が少なくなることです。
ガソリンについては5章で詳しく説明しますが、主成分は炭素と水素の化合物であり、酸素は含まれていません。
それを燃焼させた時、酸素の供給具合によってはどうしても不完全燃焼で一酸化炭素が生じてしまいます。
しかしバイオ燃料の代表的存在ともいえるバイオエタノールは、6章で見るように(バイオ系でなくても)酸素を成分として持っており、これが一酸化炭素の発生を抑えるのです。


